白と黒

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で、本日のお話は「白と黒」。

一年お稽古してきた謡の披露会が近く

最終形この段階に入っています。

時間が取れなくて、というのが一番の悩み。

特に来週は予定が詰まり過ぎた感があって

本当にどうしようってなっているのも事実。

この一年は「羽衣」という曲をお稽古して

参りました。

シテ（主役）の部分を謡わせていただく

のですが、羽衣のシテは天女（天少女）。

まぁ、自分の中にない世界観でした。

 

元々謡や仕舞を習い始めた理由が

謡はあくまで喉のためでしたが（あまりに

失声症を繰り返すので）、仕舞は完全に

巫女の流儀を学ぶため。

後に能楽を学んでいるという認識が

入ってからは「器になる」ということの

お稽古のために通うようになっていきました。

毎回、謡とは全く無関係の自分にしか

わからない学びがあるわけですが。

今回は「無垢」という学び。

「無垢」「無邪気」の違いです、これは大きな

発見でした。

 

「無邪気」とは、子どもに代表されるような

邪気のない状態を言います。

故に赤子はあらゆる魔を祓うともされる。

その一方で、無邪気なものは残酷です。

邪気がない故に残酷になる、だから教育が

必要になります。

誰かに管理され、躾を受けなければ危ない。

一方の「無垢」は、白無垢などに代表される

ように白く穢れの無い状態。

でも、結婚式場に行くと判るのですが、

白無垢の白って、本当にいろいろな色が

あるんですよね。

並べなければわかりませんよ、式場の

方は衣装合わせの際にそう言われます。

白いほどお高いのが貸衣装の白無垢、

でも、お嫁さん同士が並ぶわけじゃない。

だから、白さとご予算を秤にかけましょう

的なセールストークをはるか昔にされました(笑)。

ならべないから判らない、ということは

並べたらわかるんです、明確に違うから。

それが「白さ」の残酷なところ。

 

羽衣の中に出てくる天少女の無垢さは、

人間の穢れさえ、はねのけます。

黒くしても黒くしても瞬時に白くする、それが

天の力。

やがて人間は己の黒さを恥じて、自ら白を

目指すようになる。

これが臼井靈氣の真骨頂です、決して我々が

誰かに何かをするわけではない。

なにをしたら穢れずにいられるか、その答えを

ひとりひとりが見つけていく作業。

 

えみこは、今月で足かけ19年目に入りましたが。

その時間の中で見つけた答えが「透明になること」

でした。

でもそれは、えみこの答えなので万人には当てはまらない

物だと思います。

生徒さんには生徒さんなりの答えを見つけてほしいと

思っている。

同時に、誰がどんな色を持っているのか、集約されて

いくのが靈氣師範の役目なのだと最近思うように

なりました。

臼井靈氣の師範は、昔は靈氣実践10年でようやく

伝授が赦されて、その後さらに10年続けねば一人前には

なれない、とされてきた世界。

今年ようやく師範になり15年、靈氣実践19年を迎えた

わたしは、まだまだ師範としては半人前に過ぎません。

研鑽の時間の中で何かを見つけ、課題を手に入れ、

自分が向かうべきものに向き合いつづけなければ

いけない。

 

人間の黒に染まらぬ、無垢さを見せよ。

20年目を前に、この靈氣の課題に、挑んでみようと

思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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